病院

病院に来ている。

東京でも大きい方の大学病院だ。

病院は良い。皆が生きようとしている。命のパワーを感じる。皆何かしらの体の不調を抱えているのだろう。勿論何もない健康体が一番幸せであることは言うまでもないが、病気になったからこそ生きるということについて考えるようになった人もいるはずだ。僕もその1人だ。

 

なんか真面目な入りになったけど、こっからはフランクにいくナリ!(フランクすぎる。行き過ぎたフランクは処罰の対象にもなりうる。)

さっき採血室に入ったら、男の看護師さんのバチクソ渋い声が聞こえてきた。癖のある喋り方に採血室がザワつく。

 

「大橋さん……注射……刺し……ますね……手を……楽に……して……ください……ネ」

 

 

いや戦場カメラマンか!

いやマジで。この時点で男の看護師さんの容姿は見てなくて、

音声の情報しかないって意味では“mp3看護師”ではあるんやけど大袈裟じゃなくそう思って、ニヤニヤしながら聞いとったらその看護師の声で聞こえたのが

 

「いやぁ……戦場…カメラマン…みたいに…なって…ます…けれども…照笑」

 

いやオメエも思っとんかい!!

自覚症状あったんかい!!

そんで俺と感性一緒やん!同じ例えしとるやん!そのゆっくりの低い声の喋り方例えるなら戦場カメラマンよなあ!わかるで。でも「なってます…けれども…照笑」はやめえ、なんで照れとんな。照れんな。誇り持て。

あの瞬間俺は脳内でめちゃめちゃツッコミラッシュしてて、あの採血室の中では多分一番興奮しとったと思うな。でもどうやらその後の話を聞く限り、お年寄りの耳の遠い人にはその喋り方が一番いいらしい。ほんまに一番か?

 

ふと冷静になった。

頭の中におるお笑い仙人が俺に言う。

「アイツと同レベの例えしか浮かばんの悔しないん?」

 

嗚呼!!それ悔しい!

俺もっと頑張れるからちょっと待ってくれ!

 

考える。

①ペッパーくんやん!喋り方ペッパーくんやん!人工知能やん!

ちゃう。たしかにロボットっぽかったけど芯食ってない感じ。

 

②声が遅れて出てねーと割に合わん喋り方やん!

これに関しては意味わかる?

いっこく堂が「声と口の動きがズレてる」っていうネタ持っててそのネタの時すごいゆっくり喋るんやけどそれにも似とったんよ。

でもあれよな、ここでこれだけ説明せんといけん時点で多分ダメなんよな。

 

③いやボビーオロゴンさんですよね??

これはシンプルにおもんねえ。ちゃうしな。ぜってえボビーオロゴンではねえしな。そんで多分ボビーオロゴンは採血室出禁やしな。

 

頭の中も行き詰まってきたところでお笑い仙人がまた俺に話しかける。

「よし、行き詰まったならそろそろ視覚の情報も入れてイイぞ。」

 

なるほど、見た目をまだ見てなかったな。

採血室って仕切りがすごいあるから“見ようとしないと”見ることはできんのよな。

お笑い仙人意外といいヒントくれるやん。ありがとう!

 

そして椅子から身体を少し離して覗き込む。

そこに座るのは。。。。

 

色黒、おめめパッチリ、ハゲ

 

!!!???

 

いやボビーオロゴンやないか!

 

いやビジュアル完全にボビーオロゴン。完全に、ではないけどあれは四捨五入すればボビーオロゴン。端数切り上げでボビーオロゴン。

よーしよしよしよしよし!ナイスお笑い仙人!

ゴミだと思って捨てたツッコミが輝きを取り戻したで!ありがとうお笑い仙人!これからも俺の原動力であってくれよな。

まあ要するにこの話、「百聞は一見にしかず」ですな。

要するな。まとめに入んな。偉そうに。一国の長(おさ)か。

 

まあここまでの話、実際には採血室の椅子に座って頭の中で思ってただけなんやけどな。

でも此処は俺の脳内だから。

こういうこと書くためにこれ始めたけん。

多めに見てやってくだせえ。

終わりです。またね。