あなたのもとに生まれて

 

23年前の春、僕は産声をあげた。

正午を過ぎてからやっとお腹から出てきた僕。

今でも僕が昼過ぎまで寝てたら時々母は

 

「まああんたは生まれる時も昼過ぎるまでなかなか出てこなかったからね。」

 

なんて冗談を言う。

 

生まれて23年、色んな母を見てきた。

きっと僕の父から見た母、僕の妹から見た母、それぞれあると思うけど、僕から見た母は僕しか知らない。

 

朝7時には仕事に出て行った母

 

でも家族の弁当はちゃんと作ってから家を出てた母

 

その弁当の袋に「今日も頑張れ」なんてちっちゃな手紙を添えてくれてた母

 

家に帰ってからも、赤ペンで採点をしていた母

 

休みの日はよく寝る母

 

犬アレルギーなのに、誰よりも早く起きて愛犬に餌をやる母

 

お出かけするといつもハンカチを落とす母

 

よくシャツを前後ろ逆に着る母

 

シャツを表裏逆に着たりもする母

 

忙しいのに仕事を切り上げて、少し遅れて参観日に来てくれた母

 

親子ソフトボール大会で打球を食らって周りに心配される母

 

「守ってた位置が良すぎたのね」なんて冗談を言って周りに気を使わせないようにしてた母

 

 

 

この格好変じゃない?って何度も何度も確認してくる母

 

変じゃないよって言うと嬉しそうにする母

 

喧嘩してもちょっと経ったら「さっきはごめん」って言ってくる母

 

あんたの作ったお味噌汁の方が美味しいねってなんだか自信なくしてた母

 

母さんの味に似てると思うけどなって言ったら少し嬉しそうにした母

 

僕が嬉しいとき、一緒に喜んでくれた母

 

僕が辛いとき、一緒に泣いてくれた母

 

時々「母さんほんとダメだね」ってヘコむ母

 

どんな母もたった一人の僕の母で、息子はそんな母のことがとても大切です。

 

親だけは選べない、なんて言葉があるけど、僕は母さんのもとに生まれてこれて本当に幸せです。

 

普段はこんなこと、絶対言えないけど

 

今日はなんだか素直になれた。

 

母さんいつもありがとう。

息子は感謝しています。

 

あなたのもとに生まれて、本当によかった。

 

 

おわり