小さな傷

冷たい風が吹いて

 

手は冷たいというよりも

 

痛いと感じるようになり

 

家に着くとお湯で手を洗う

 

血が沸騰するように

 

指先へ流れていくのがわかる

 

ジクッという尖った刺激が

 

左手人差し指第二関節を襲い

 

ああ、また指切ってたんだと

 

今さら気付く

 

所詮そんなもんだ

 

指の切り傷なんて

 

お湯がかかるまで気が付かない

 

けれどそんな痛みにも

 

僕は敏感でありたい

 

自分の傷、周囲の人の傷

 

その傷は目に見える時も

 

目に見えない心の中にできる時もある

 

傷の大小は関係なくって

 

自分の傷にも

 

他人の傷にも

 

すぐに気が付いて

 

そっと処置できたなら

 

どれだけいいだろう

 

今日お湯がかかって初めて気が付いたような

 

小さな傷は

 

誰にでもあって

 

そんなに痛くもないのかもしれない

 

だけど

 

どんな傷にでも

 

そっと寄り添って

 

少しでも早く

 

良くなればいいのにと

 

一緒に思いたい

 

そんなふうに考えながら

 

左手人差し指に

 

絆創膏を巻いた

 

人にやさしく、自分にもやさしく

 

これは僕の

 

人生のテーマなのです