十数枚の服を捨てて

季節が変わるたびに

 

洋服たんすを掻き回しては

 

ああ、こんな服あったなあと感心している気がする。

 

もう着ないのであれば

 

捨てればいい服たちが

 

いくつもの季節を越えてきた。

 

この度、十数枚の服たちを

 

資源ごみとして捨てた。

 

中には

 

東京で買った思い出のコート

 

それお洒落だねと女の子に褒めてもらったシャツ

 

居酒屋でハイボールをこぼしたスラックス

 

何処に行くのにもとりあえず羽織っていたブルゾン

 

 

何で今まで捨てられなかったのか

 

その服たちとの思い出が

 

捨てるに踏み切らせなかったのだと思う。

 

一枚一枚に、忘れられない思い出があり

 

あんな所にも行ったなあ

 

こんな人と会ったなあ

 

そんなことまで考えてしまう。

 

ありがとうを込めて、丁寧に畳んで袋に詰める

 

物を減らそうとする時、愛着あるものとの別れが必ずついてくる

 

服をたくさん買ったのは

 

自分の内面に自信がなかったからなのかもしれない

 

着飾って

 

お洒落だと思われたくて

 

必ずしも必要でない服も

 

たくさん買っていた気がする

 

服を捨てることによって気付けた、自分の内面の変化

 

今はシンプルで

 

着心地のよいものを

 

長く、綺麗に着続けたい

 

数は多くなくていい

 

身体にあったサイズのものを

 

シワなく清潔に着られればいい

 

そんな風に考えるようになった

 

思い出の詰まったものを

 

捨ててしまったとしても

 

思い出はきっと心にのこり続けるから

 

思い切って捨てる勇気も

 

これからは大切にしよう

 

 

もちろん、お別れの前の

 

最後のありがとうを

 

僕は忘れずに言うよ