早起きの理由

カレンダーがどんどん薄くなって、吐く息が白くなって、水道の水がいつもより冷たくなって、冬が来たんだなと感じる今日この頃。

 

クローゼットの奥に眠っていたニットやマフラーたちは、やっと自分たちの出番がきたことを喜んでいるようにも見えた。

 

朝は寒くて、毎日布団とのお別れを惜しんでいる。

 

そんな僕も、最近は早起きだ。

 

朝5時、6時に設定した目覚ましの音を聞くことなく、布団を抜け出した僕は、2人で食べる朝食の食パンの残りが1枚になっていることに気付く。

 

1枚を2人で分けるか、買いに行くか。

まだ時間もあるし、散歩がてらコンビニまで歩くことを決めた。

 

玄関のドアを開けるとまだ太陽の光を浴びていない冷たい空気が頬に触れる。

一瞬怯み布団に帰りたくなるが、そんなことを許さないために自分の布団はさっきたたんだのだ。

 

まだ外は暗い。吐く息の白さを際立たせるような黒い空に、まだ星が見えている。

 

無数に散らばった星ですら、昨日お昼の番組で見た収納研究家のおばさんなら見事に片付けてしまうのかな。

 

そんな馬鹿なことを考えながら、コンビニで買い物を済まし、家に帰ってきた。

 

二人分のパンを焼く。

こんがりサクサクが好きな彼女のため、3枚焼きの時間設定で2枚のパンを焼く。

 

パンをセットしたら、バナナとリンゴのカットだ。指先は器用な方ではないが、バナナはフルーツ界皮剥きやすい王決定戦でここ何年も優勝しているし、リンゴの皮なんて、皮だと思ったこともないくらい普通に食べられる。

いやちゃんと剥くけどね。

 

カットしたフルーツをヨーグルトにぶち込み完成。

 

あとはコーヒー。

正直、パンを焼いたりヨーグルトを作っている間もコーヒーを飲みながらやりたいのだが、コーヒーメーカーの「ズズズズ、、カァーーー!」という喚き声で彼女が起きてしまうのではないかと思い、最後に淹れることにしている。

疲れてるだろうし、まだ眠いだろうから、寝れるだけ寝てほしいという僕からの配慮だ。

 

パンが焼けた。

うん、こんがりサクサク。

いちごのジャムを塗る。

1枚目はジャムを多く取りすぎて、パンの表面が完全に覆われたが、2枚目はその反省を生かし、薄めに塗った。

人間は学習する生き物である、なんて呟いたりしちゃって。

 

コーヒーメーカーのスイッチON。

「ズズズズ、、、カアアアアァーーー!」

うるせえなあ、気合い入りすぎだろ。

2分もすれば大好きな香りが漂い、音なんて気にならなくなった。

 

彼女の分はマグカップに、自分の分はタンブラーに入れて、これで朝ごはん完成。

 

ジャムを多めに塗ってしまった1枚目のトーストを彼女の席に置き、まだ寝ている肩を揺する。

 

冬眠から目覚めた森の動物のようにムシャムシャと美味しそうに食べている。しばらく見とれていた。

 

「美味しいね、作ってくれてありがとう」

 

こういうことをちゃんと言ってくれるところを僕はずっと大切にしたい。

 

早起きをする理由を作ってくれてありがとう。

幸せそうなその顔が、毎日頑張らせてくれる。

 

腰の重い僕が、最近毎日早起きをする理由はそんな感謝の気持ちからなのかもしれません。

 

明日も、明後日も、毎日同じメニューでも、きっと毎日少しずつ違う味。

 

明日も早起き、頑張るんだ😊

 

おしまい。